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2005.12.29
バトンとチェーンメール
今年のブログシーンを振り返る、「絵文録ことのは」のシリーズエントリから。
ミュージカル・バトンはなぜ大流行になったのか [絵文録ことのは]2005/12/28
そして同エントリに対する異議。
別に松永さんは「ギークが乗ったものは悪くない」なんて書いてないと思うけどなー、と思ってたらちゃんとご本人から反論があったのでその辺はいいとして。
バトン上陸当時に記事を書いた時にも気になってたのが、「バトン反対派の主張のほうが、バトン容認派のそれよりも感情的で危なっかしい傾向がある」と感じたことなのです。
私自身も「バトンとチェーンメールは違う」と考えていて、その理由は松永さんの主張するところとほぼ一致するのですが、バトン容認派がこうして冷静に自分の主張の根拠を述べているのに対して、バトン反対派でいかにバトンとチェーンメールに共通の問題点があるかということを論じているのを見た記憶はまったくありません。むしろ、「バトン=チェーンメール=絶対ダメ!」という図式を論議不要の大前提として、それに異議を唱えようものならチェーンメールに加担した極悪人扱いされそうなイキオイで(偏見?)。
実際にそうした反対派の主張が「感情的」から「なんだか危なっかしいもの」になったなと思ったのが、あるブログ記事のコメント欄(記事自体は今では削除されているのか、ぐぐってもどうしても見つかりませんでした)で見たバトンウィルスの噂でした。元はmixi内で書いたものですが、もう時効だろうと思うので改めてここで書くことにします。
表記がひとり歩きすることを懸念して、一応画像化します。
要は、バトン反対派による、バトンをウィルスのようなものだと断じて非難するついでに、いかにもウィルス対策ソフトメーカーの警告のような表記にしたてた文章です。大元の文章はmixi日記らしいのですが(これも検索してもみつかりませんでした)、それが外部に転載され、最終的に私が見たブログのコメント欄に書き込まれ、その時点でコメントを書き込んだ人も書き込まれたブログの管理人も、このウィルスが実在すると素で信じてる様子でした。
存在しないウィルスをそれらしく仕立てた表記でいかにも実在するかのように思わせ、恐怖心・警戒心をあおる。元文章の書き手にはそんな意図はなかったかもしれませんが、結果としてそれは現実に流通しているデマウィルスメールと同じ手口であり、バトン反対派が非難しているはずのチェーンメールの一種でもあります。バトンの問題点を憂いているのであれば、それを平易な言葉で主張すればいいだけであり、こんなひねったレトリックを持ち出す必要はないはずです。「悪事を糾弾する自分」「気の利いた言い回しを考え付いた自分」に酔っているのではないか?とすら私には感じられました。
幸い、この噂はそれ以上広まることなく消えていきましたが、もしもこの文章が「善意」によって転載を繰り返し、巷に流通していたら、存在しないはずのバトンウィルスは「橘あゆみ(ホラー系チェーンメールでよく出てくる名前)」と同程度にはリアリティに満ちた存在になっていたかもしれません。
恐怖や善意の衝動(新潟県中越地震の小千谷メール等)などによって読み手を煽りたて、主体的な思考を失わせた上で自らを複製・拡散させるよう働きかける。それがチェーンメールの構造であり、まさしくウィルス的です。チェーンをまわした人間は、「感染」のためのキャリアに過ぎません。
一方、バトンの場合、百歩譲って回すという行動が目先の面白さにあおられた結果だとしても、書かれる内容は複製ではなく、書き手が主体的に考え、感じた内容です。そのことがバトンとチェーンメールの最大かつ本質的な違いであり、同列には論じられないと私が考える根拠です。「チェーン」という「形式」の相似を忌避するあまり、その「本質」において同じ行動に走ってしまうのでは本末転倒です。
アルファギークな人たちの発言や行動は正しいよ!(だから乗っても問題ない)と言ってしまうのはとっても怖い事だと私は思います。
良くないことが広まりつつあるからといって、「怖い」と思う必要はないはずです。何がよくないのか、どうすればいいのかを見極めたうえで、その見極めた内容を逆に広めていけばいいだけの話です。「怖い」と思ってしまえば、「見えていていいはずのもの」「見えていなければならないもの」が見えなくなってしまいます。そして「怖い」という感情はチェーンのように伝染しやすいものです。
何かを非難しながらその対象と本質的には同じ行為に走ってしまう、そんな愚行に陥られませぬよう。
追記:
mixiのID持ってる方でこの話題に興味がおありの向きは、mixi内の当時の私の日記も読んでもらえると嬉しかったりします。
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コメント
訂正。ウィルス名表記でぐぐると件のブログ記事ちゃんと出てきます(検索時のtypoでした(恥))。当時私がつけたコメント込みでそのまま残ってます。
投稿者: うな (2005/12/29 23:09:24)


