無断リンクを嫌がる人の意識
先月の末ごろですが、無断リンク禁止をうたっていたブログがはてなブックマークで取り上げられ、諸々あって最終的にはそのブログは閉鎖されてしまった、ということがありまして、以来はてな界隈を中心に無断リンクに関するエントリー・議論がよく見られるようになりました。
個人的には、うちらが去年の春にMyClipにからんでぎゃんぎゃんやってた頃から何モ変ワッテネエジャネエカヨorzという気分なのですが(^^;)ネットの流儀に不慣れな層が大量流入してきたことで燃料が追加され、議論が再燃しているといったところでしょうか。
(しかしこの前後のMyClip関連エントリは、今になって読むとそれはそれで感慨深いものがありますな)
無断リンクを嫌がる人の心理として、「批判されたくない」ということがよく挙げられてますが、実際にはもっと単純に「自分に注目して欲しくない」という意識なんじゃないかと思います。そうした意識への反論として「Webは公共の場なのだから、注目してほしくない(=リンクされたくない)ものをWeb上で発表するな」という主張があるわけですが、そこでこんなたとえ話。
なお、誤解を受けないために先に言っておくと、以下のたとえ話をもって無断リンク禁止派を擁護する意図はありません。ちなみに私自身は無断リンク禁止反対派です。
Aさんが親しい友人たちと公共の場所、例えば公道とか広場とかで楽しくおしゃべりをしていました。もちろん人の迷惑にならないように、ごく普通の音量で。
すると、いつの間にか見知らぬ人がそばに立っていて、話の内容に耳を傾けていました。なんだろうと思って見ていると、その人は突然、
「おーい、ここにこんな事言ってるやつらがいるぜー」
と叫びました。
びっくりしたAさんはその人に、
「あなた、どういうつもりなんですか。人の話を立ち聞きするなんて失礼じゃないですか」
と抗議しました。ところがその人はAさんの抗議に答えようとせず、それどころか今度は明らかに侮蔑したような態度で、
「おーい、こいつら立ち聞きは禁止だとか言い出したぜ。ここは公共の場なんだから、人に聞こえるような場所でしゃべってるほうが悪いよな」
などと言うのです。さらにその声を聞いて、
「何だ何だ、立ち聞き禁止とか言ってるやつはここかー」
と大勢の人が集まってきてしまいました。
うわー、そら嫌だわ(笑)。
上のたとえ話において、なぜ読み手がAさんの立場に共感できるかと言えば、それは現実世界においては
「たとえ公共の場で話されている内容であっても、明らかに周囲への呼びかけを目的とした形になっていない限り、その内容に関心を示したり周囲に広めたりするのは、礼を失する行為である」
というコンセンサスが成り立っているからです。
このコンセンサスは無断リンク賛成派も共通にもっているものであるため、なかなか全否定はしにくいし、したとしても「それは現実にそぐわない」として却下される可能性が高くなります。となると、少なくとも「前提そのものから食い違っていて議論が成立しない」という状態を回避することだけはできるんじゃないかと思うんですけど、どうでしょう。
以上、無断リンク論議の中でも、議論が平行線をたどることを憂いている以下のエントリを読んでつらつらと考えたことをまとめてみました。もっとも、VANILLACHIPSのfudaさんはエントリ後半でたとえ話の危険性を訴えてらっしゃるので、思いっきりそれに反してますが(^^;)
[V]: 議論のループを止める方法-共有できる前提を探す-
sta la sta - 無断リンク賛成/反対派は、議論のレイヤーが違うがために歩み寄れない
« GD2の注意メッセージは豪快だ | トップページ | ココログのAjax化 »
「Web全般」カテゴリの記事
- Amazonの短いURLをWassrに投稿(2009.03.01)
- 人の軽重ではなくつながりの軽重と考えてみては(2008.11.16)
- 評判の悪いfeedpath Rabbit(2007.04.10)
- Twitterはじめました(2007.04.08)
- folomy(2007.03.19)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
>fudaさん
試しに再送してみたのですが、なるほどサーバにはねられてますね。以前にも「リンクのないトラックバックをはじく」と銘打ったところに送ってはねられたので、同じかなと思ったのですが。
そちらのお引越しが終わった後にでもまた送らせていただきます。
投稿: うな | 2005.11.15 23:43
>うなさん
SpamLookupではなく、サーバが不安定なためみたいです(^^;
(近日中にサーバ移転の予定)
お手数ですが、もう一度トラックバックを送っていただければと思います。
投稿: fuda | 2005.11.15 13:44
>Tigerさん
なるほどー。ならば無断リンクは、アポなし突撃取材みたいなものかな(また例えるし)。
パキスタンチャリティ、10月で終わってたんですね。うっかりしてました(^^;)
>fudaさん
コメントありがとうございます。抽象的な概念を直感的に理解できるなど、たとえ話にもメリットは数多くあるんですよね。今回は、「前提の食い違ったたとえ話」の危険性を抑えるために、「自分の立場を相手に分からせるため」ではなく「相手の立場を分かるため」のたとえ話、ということを提案してみました。
ところで、この記事から送ったTBも、リンクがあるにもかかわらずSpamLookupに弾かれてしまいました。お時間のあるときにご確認をおねがいします。
投稿: うな | 2005.11.15 01:01
実を云えば、僕も例え話は好きだったりするのですがw
同じ前提を共有している人との間では例え話はけっこう有効だと思うのですけど、論争的な議論の場合、その相手に対しては通じなかったり、例え話が適切かどうかの論争になってしまったりするので、そういう危険性があるということでした。
投稿: fuda | 2005.11.14 20:31
例え話が危険といわれても、例え話が好きな私としては、美味しい店なのに取材禁止!という「知る人ぞ知る」店でありたい、今までの心地よい空間を壊されたくない、というシチュエーションとの相似を感じるんですよね。
ところで、パキスタン地震のバナー、そろそろ、お役ご免かと ^^;
投稿: Tiger | 2005.11.13 19:41